父(栄順さん)と私(栄市)と

父親と私のこと。父は毎朝5時に起き、夕方5時に仕事を終えるという生活リズムを続けており、現在90歳になります。今でもほとんど変わらないそのリズムを保っています。私が生まれたときからその生活習慣があり、それ以前のことはわかりませんが、少なくとも私の記憶では、日曜日でさえそのペースで過ごしていました。

私から見た父は、工房の主として「とにかくコツコツと仕事をしなさい」という姿勢を貫いている人です。「しっかりと良い仕事をすれば、誰かが見てくれている。だから、自分からアピールする必要はない」といった考え方を持っています。ブログを作る必要もないと感じていたように(実際にそう言われたわけではありませんが💦)、本当に職人らしい、仕事に専念する人でしたし、今でもそうです。

私が20代の頃、インドネシアに行きたいという夢を抱いていました。アジアの工芸を学び、沖縄の工芸をさらに発展させるという若く熱い思いを30分ほど父に語りました。その時、祖父が住んでいた建物の応接室で、父と二人っきりで話をしました。父は無言で私の話を聞いてくれていましたが、最後に「何を言っているのかよくわからないけれど、早く寝て早く起きなさい」とだけ言いました。当時の私には、なんて平凡でつまらないアドバイスだろうと生意気に感じていました。私の若い志や展望が大きく膨らんでいたため、地に足のついた父の発言が小さく感じたのだと思います。

それから約20年が経ち、私は工房を引き継いで12年になります。今では、父が言っていた「早く寝て早く起きること」の大切さが身に染みてわかり、ここ6年ほどで朝5時に起きる生活習慣を身につけることができました。父との関係が完全に理解し合えているのかどうかはわかりませんが、少しずつ父の立場に近づき、その考えや役割を理解できるようになってきたのが、今の私です。