琉球びんがたの「ふくぎ」

紅型のおおまかな工程を紹介いたします。

実際にはご紹介する工程の他にも細かい手作業が数多くあります。 それぞれが非常に重要な工程な為、各々に熟練した専門の職人さんがいます。 例えば、型を彫る人、置く人、配色を決める人、水あげを専門で行う人、など等です。

城間びんがた工房では、一連の工程をすべて同工房内で行っています。 尚、一反の制作には、デザインにもよりますが、大体3~4週間程、 着物になるには、そこから仕立てに入るので、大体1ヶ月半から2ヶ月だそうです。

工房によってもその工程は様々で、いろいろな工夫を凝らしているようです。また、出来上がる作品はすべて手作業かつ、使用する染料、顔料もその作品の為だけに使用されるため、紅型の作品一つ一つには職人さんの心もおのずとこもってきます。

図案

 完成度の高い紅型の図案の制作は、すべての行程に精通していないとできません。
紅型の全工程を左右する図案の制作は、一番難易度の高い工程といえます。
軽くスケッチされた下絵を紅型らしく仕上げるには、緻密で高度な計算上と長い間に蓄積された経験と、醸成された卓越した技術とで、現在の古典や斬新な作品があるのです。
工程上で、取捨選択されていきながら完成するものもありますが、やはり紅型のあらゆる特徴を理解した上で、初期のこの段階で決定されるものが完成度の高い図案といえます。

型彫り

 通常型彫りは2枚の型紙を重ねて掘ります。紅型の特徴を活かすために突き彫りされます。
線を突きながら彫るため、引き彫りとくらべ相当な時間がかかります。型彫りは言えば型紙作りなので相当な気を使います。
ここからすべてが始まるので予断の許さない、相当に神経を使う作業です。柄の表情はもちろんのこと、型置きの際の柄送り、糊のつき具合をも左右します。きれいな曲線、直線を生み出すためには相当の経験が要求されます。

型置き

 作品の出来を最終的に左右する行程です。ここでの柄のズレ、柄つぶしは取り返しがつきません。
この行程はまず使用する糊からこだわります。基となる糊の調合が肝心で、少しでも調合が変わると工程全体に大きな影響を与えてしまいます。
糊は1回目の水本まで生地に付着している状況が続き、時間が経つと腐食します。このため湿度などを外気に状態を、綿密に計算に入れた作業が必要になってきます。
その後の行程進捗を慎重に計算しながら行います。
糊を置く前にまずは生地を型板に張っていき、まっすぐ張れなかったりすると、柄がずれたりします。
さらに、生地を張る際はどんな生地でも繊維(横糸)を大体まっすぐになるようにしながら張っていきます。
それから、反物で上下のある柄を置く場合はしみ打ちしてから、型を置いていきます。
型の上からでも糊が均一に降りるよう、ヘラの動かし方、力加減に気を配ります。
その際にも糊の堅さ加減で柄が潰れたりするので、型紙の特性を見極めた上で糊の堅さ加減を調整する必要があります。

豆引き

 型を置き終わった生地に、大豆の汁から出来た豆汁と言う液を引きます。
引き染めでいう、地入れの様な物です。
 これにより、生地にタンパク質が付着、より顔料の定着を促します。
また豆汁に、にじみ止めとなる卵白質系の物を加える事により、
顔料のにじみを防ぎます。
 この工程が雑だと、無地場部分等がムラになったり、生地に顔料が入りにくくなったりします。
最終的な顔料の発色具合もこの段階で決まってしまう程、重要な工程です。

色挿し

 色挿しには、鉱物性の顔料を微粒子化させた物を使用します。
基本となるいくつかの微粒子化させた顔料を組み合わせ、様々な色を出します。その色を豆汁で溶き濃度等を調整します。豆汁で溶く為作ったその色は、もって2日です。大豆が植物性の物なので、日が経つと腐ってしまいます。
その為、色を作った今日明日で塗り終える量を計算しながら作る必要があります。
そのような理由で同じ柄の作品でも、全く同じ色目はあり得ません。すべてが一点ものと言えます。そうして出来た色を2本の筆を駆使しながら配色していきます。
1本は塗り筆、もう一つは擦り筆です。
塗り筆で柄に色を着け、その直後にならすように擦り筆で擦ります。擦る理由は、顔料を生地の奥深くまで浸透させる為です。
色の着け具合、擦り具合によって色目が変わるため、1色は大体1人でこなします。
誰でも出来そうな工程ですが、次の隈取りや、糊伏せまで考えながらの工程なので、実に奥深い工程です。この時点でぼかす技法もあり、熟練の技を要します。

隈取り

 色挿しが 終わった柄に、立体感をつける為にぼかしを入れて行く作業です。
習字の筆で色挿しの際の色より若干濃いめの色をつけ、それを手作りの筆で擦りながらぼかして行きます。
このぼかし筆は、人毛から作られた物です。( 若い女性の髪の毛が良いとされています。)
動物の毛だと堅すぎて上手くぼかすことが不可能で、色が摩擦によって意図したものにならない危険性もあるからです。

蒸し

 生地を蒸す工程は、隈取りが終わった後と、地染めが終わった後に行います。
隈取り後に蒸すのは、挿された顔料をより生地の奥まで浸透させる為に行います。
この工程により、昔の紅型よりは柄色の落ちが少なくなりました。
地染め後の蒸し工程も同様に、地色を定着させる為の作業です。
写真の蒸箱も全て手仕事。帯で最大4本。着物だと1本づつしか蒸せません。
写真には映っていませんが、この左側にボイラーがあり、ボイラーにより熱せられた水に圧力をかけて霧状になった水蒸気で蒸箱内を100度以上にします。
蒸し時間、圧力等の加減次第では地染めがムラになりやすく、相当気を使う工程の一つです。

水元(みずもと)

 糊のついた生地を、水に浸してその糊をふやかし、生地と生地がこすれないように、ゆっくりと時間かけて慎重に糊を落としていきます。
この時に糊をちゃんと取っておかないと、次の工程の地染めの際に、地色がムラになったりしてしまいます。
京都の「友禅流し」などと同じ工程です。

糊ふせ

 最初に型で置いた糊をキレイに落とし、真っ白な地を染める前に、柄部分や、この後の工程である地染めで染めたくない所を、糊でしっかりと伏せて行きます。
この際に糊が柄からはみ出したり、また少し足りなかったりすると、地を汚してしまったり、柄を汚す事になる為、非常に神経を使う作業の一つです。

地染め

 糊ふせの糊が、完全に乾いた後に刷毛(ハケ)で全体に色をひいていきます。
この際は大きな刷毛を使用します。(引染め)
全体的にムラの出ないよう、均一に細心の注意を払って染め上げます。
地染めが終わるともう一度蒸し、水洗して仕上がりとなります。

蒸し

 地染め完了後、今度は地染めの染料を定着させるため、さらに蒸し器にかけます。
ここでも、40分から1時間くらい蒸して、乾燥させます。

水元(仕上げ)

 蒸し終了後、再度仕上げの水元を行い、柄部分を伏せている糊を落として完成です。
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